ななつめの井戸レポ

よしなしごとによるリハビリテーション

第一哲学だけで思想はやれない(1)

岩波書店から、 クリフォード・ピックオーバー著、板谷史/樺信介訳『ビジュアル医学全史 魔術師からロボット手術まで』(2020年1月)が出た。 全頁カラー図版で、1頁ごとに完結する短い記述の羅列はとても読みやすい。 正直、あと3~4年くらい早くこういうの…

アヤへの手紙#02 大きい海の話

アヤへ。 日付変更線を越えたらしい。 遠くに見える陸地は、ロシア領、ベーリングとか、きっとそんなあたりだ。 僕たちは途方もなくのっぺりと広がる太平洋の上空にいる。当たり前だが、後にも先にも、連綿と光がある。9月25日の昼の光と、9月26日の昼の光だ…

アヤへの手紙 #01 世界という大きな書物

アヤへ。 この下書きは、飛行機のEチケットを裏紙にして書いていた。 モレスキンの手帳とか、そうでなくともせめて、あのクリスチャン・スケジュール・ブックとか、風情のある紙はいくらでもあるだろって、君は呆れるかもしれない。でも、A4紙を4つ折りにす…

Blue between sunset et sunrise

青をみた。陽が落ちる前の大陸から、陽がのぼる頃の列島に向かって飛んだときのことだ。 往路では夜を迎える列島から、夜の中を飛んで、大陸が昼になるころにたどり着いた。 だから、夜の中がどんなに暗いかはすでに知っていた。 翼の先の心許ない光が、いま…

つぎのこと

なにから書きはじめたらいいのかわからない。 あまり重大なことを書くつもりではじめるのは、あとあと億劫になるからいけないとわかったつもりでいるのだけれど。ただ、誰かが読むかもしれないと思いながら書くものを、なにか用意しておくだけで、日々の思考…

はじめのこと

七という数字が好きだ。 明るい青色で、シンプルそうで複雑、茶目っ気がある。井という字が気に入っている。 井戸の井、#にも似ているけれど、軽く曲がっているところがいい。明るい黄色の文字、平仮名の「い」のままの色だ。 おのれが井の中の蛙であると言…